★★☆☆☆

【ネタバレなし】「おおかみこどもの雨と雪」のあらすじ・感想。伝えたかったのは家族計画の大切さか?

今回取り上げる映画は「おおかみこどもの雨と雪」
いまや日本を代表するアニメ映画監督である細田守が、初めて自ら脚本も手がけた作品です。

「おおかみこどもの雨と雪」のあらすじ・キャスト

【あらすじ】
東京の大学に通う大学生・
彼女はある日の教室で、教科書も持たず一心不乱に講義をノートに取っている不思議な青年を目にする。
ほかの学生たちとは違う雰囲気を漂わせる彼に惹かれる花。

ふたりはやがて同棲する間柄になるが、実は彼は人間と狼の血を引く「おおかみおとこ」だった。

彼の秘密を受け入れ、さらに「雪」と「雨」というふたりの子供まで授かった花。
しかしある大雨の日、彼が突然この世を去ってしまう。
大学にも通えなくなった花は、子育てのため田舎へ引っ越すことを決めるが……

【キャスト・基本情報】
声の出演: 宮崎あおい、黒木華、大沢たかお、菅原文太
監督: 細田守
上映時間: 117分

ネタバレなし感想。主人公たちの倫理観が謎すぎてついていけない

「おおかみこどもの雨と雪」、登場人物たちにすんなりと感情移入できた人はどれだけいたんでしょうか?

母親である花の行動からして、通常の感覚では理解できないレベルです。
というのも、”おおかみの血を引く秘密を知られてはならない”って掟を重要視するあまり、花の行動がぜんぜん子供のことを考えてない結果になっちゃってるのですよ。

たとえば出産のシーン。
夫婦は長女の雪を自宅で出産することを選ぶのですが(助産師にも頼らずに!)、花が言うには、その理由は「おおかみの姿の子供が生まれたら、お医者さんがびっくりするから」だそうで……

いやいやいや、どういう理由だよ!!

そこは「子供に何があるかわからないから」とかのセリフにしないと客がついてこれないでしょ。
なにより、子供の命よりも医者とか掟を優先しちゃってんのはどうなんですか。

「雪が病気になったときに、小児科か獣医かどっちに見せるかで悩む」って場面もギャグになってない。
どっちでもいいから医者に連れていかないと手遅れになるかもしれないじゃん。
この母親は、あらゆる場面で子供の命を後回しにしちゃってるんですよ。

“おおかみこども”という特殊な子を授かり、掟を守りながら女手ひとつで子育てをする花。
ほんとであれば観客が自然と応援したくなるキャラクターのはず。
なのに、彼女の行動があまりに雪と雨のことを考えていないので、「薄情な母親」「周りに頼るのが下手くそすぎ」って風に見えてしまうんですよねぇ。

花の異常なまでの献身は、もはやドン引きするレベル

おおかみの秘密を守るために誰からの手助けも受けず、雪と雨を育て続ける花の姿。
感動を通り越してドン引きするレベルです。

せっかくの大学を中退して、彼ののこした貯金を切り崩しながら兄弟の面倒をみる。
ところかまわず変身してしまうふたりを遊ばせるために、早朝の公園まで散歩にでかける。
洗濯はもちろん、食事も市販品に頼らずイチから手作りして……

もういいから休んで〜!!
と言いたくなってしまいます。

どんなつらい状況でも、亡き父親の「無理してでも笑っていれば、たいていのことは乗り越えられる」との教えを守り、
声を演じる宮崎あおいそのまんまのアヒル口で笑みを浮かべながら子育てに取り組む花。
なんだか、「いつでも笑ってろ」ってのが呪いのように思えてきてしまいます。

韮崎のおじいちゃんが「なんで笑うんだ。へらへらするんじゃない!」と一喝してくれたときには「おっ? ひょっとして今までのは前振りで、花の行動がここから変化するのか?」と期待したんですが、結局は韮崎のほうが花に丸め込まれてしまう始末……

運良く韮崎に気にいられ、花は村の人達から手助けしてもらえるようになるんですが、これだって花がそこそこ愛嬌のある若い女性だったからじゃないの?と邪推してしまいます。
花のなにかしらの行動が彼の心を動かしたというお話でないと、韮崎の人物像すら薄っぺらく見えてしまうよね。

自分のプライベートを完全に犠牲にして子供のために尽くし続けた花が、ラストシーン近くで雨に語りかけるセリフを聞くと、もう胸が痛みます。
まるで過労死寸前の社畜を見ているかのよう。

子育てものの物語って、子供の成長が親にとっての喜びとして描かれるのが普通だと思います。
しかし「おおかみこどもの雨と雪」に関しては、「子育てイコール呪い」のように感じられちゃう。

これを観ちゃったあとでは、子供をもうける気にはとてもなれません……

家族計画はちゃんとしようね

花がここまでの呪縛になぜとらわれてしまったのか、原因は簡単ですよね。
避妊せずにセックスした「おおかみおとこ」のせいじゃん。
子供つくって、子育ては母親にまかせて、突然いなくなってしまう無責任な男!

不慮の事故で死んでしまっただけにあまり責められないかもしれないけど、それにしても花がまだ学生だというのに子供つくって休学させて、しかも年子の子供までつくっちゃうというのは……
なんだかなぁ〜 家族計画とかないのかなぁ〜
なんて考えてしまいました。

「大事なパートナーを花みたいな目にあわせたくなかったら、ちゃんとゴムをつけようね!」
って意味の映画なのだと思いました。