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【ネタバレあり】「ドラえもん のび太と鉄人兵団」のあらすじ・感想。大人が見ても楽しくて泣ける傑作!

今回取り上げる映画は「ドラえもん のび太と鉄人兵団」
劇場版ドラえもんの中でも、硬派なSF要素と緊張感、そして号泣間違いなしのラストで人気の高い作品です。

(本記事は内容のネタバレを含みます)

「ドラえもん のび太と鉄人兵団」のあらすじ・基本情報

【あらすじ】
ある日偶然、巨大なロボットの部品を見つけたのび太たち。
ひみつ道具“入りこみミラー”を使って鏡の中の世界に入り、巨大ロボット”ザンダクロス”を完成させる。
人間のいない鏡の世界でロボットと遊んでいたのび太たちだったが、ロボットの持ち主だという少女・リルルが現れる。
だが彼女は、地球制服を企むロボットの国“メカトピア”から送り込まれたロボットだった!

【基本情報】
声の出演: 大山のぶ代、小原乃梨子、野村道子、たてかべ和也、肝付兼太、山本百合子、加藤治、三ツ矢雄二
監督: 芝山努
上映時間: 97分

断トツの完成度! 大人でも楽しめる、劇場版ドラえもんの傑作

好きなドラえもんの映画ランキングを作るとしたら、一位に輝く作品が「のび太と鉄人兵団」です。
奴隷制度のような重たいテーマがあり、タイムパラドックスなどのSF要素も強めで、これまでの作品よりも大人が観ても面白い作品になっています。

前作「のび太の宇宙小戦争」から政治の話が出てきたりするので、対象年齢を若干上げていた時期なのかもしれません。
異星からのロボット群の襲来を迎え撃つ、という緊迫感ある題材がしっかりとドラえもんの世界に落とし込まれていますし、ドキドキもワクワクも詰まっています。

そして、何より泣けてしまう。

「ドラえもんで泣いちゃう」というと「帰ってきたドラえもん」を連想される方も多いです。
それもいいけど、これも泣けるんだって!観てみて!一回!と声を大にして言いたい、大好きな作品です。

鏡面世界という「秘密基地」要素の巧みさ

個人的に映画ドラえもんの物語構成としては、秘密基地要素があるものが好きです。
特に「のび太と鉄人兵団」にはそれがとても巧く入り込んでいます。

巨大ロボットを組み立てるために作った「鏡面世界」が、本作の秘密基地要素ですね。
大人たちの目に触れず、のび太たちが活動するので、見ているこちらもワクワクします。
普段やりたいけれどやれないことができる、子供たちだけの世界というものが、グッと心を掴まれる要素でもあります。

現実世界とは左右対称であり、生き物が存在しないという「鏡面世界」の要素だけでも、十分面白い。
しかしそれだけで物語を広げず、「異星からのロボット襲来」に掛け合わせているところが、巧いなぁと。

巨大ロボットの組み立てのためだけの空間であれば、大きな地下空洞なんかでも問題は無いはず。
ですが、現実世界に影響を与えず兵団と戦闘するラストのために、鏡面世界が秘密基地要素として選ばれている。
最終決戦前のドラえもんのひらめきには、なるほど、それしかないよね!と頷くしかありません。

<男女の活躍のバランスが良い

巨大ロボットを組み立てたり、それと戦ったり、銃撃戦をしたりと、男の子のワクワクが止まらない要素が満載な作品です。
実際、男子4人が戦い、物語を進めていきます。

しかし、しずかちゃんも大活躍します。
ただし、前作「のび太の宇宙小戦争」のように一人で戦車に乗り込み、無人戦闘機をガンガン撃ち落としたりはしません。
今回は一切銃を持たず、交流によりリルルを改心させることで、戦力となっています。
情報不足による兵団の混乱も、兵団を消滅させるプログラミングも、全て改心したリルルのおかげです。
リルルの活躍は、しずかの活躍と言って良いでしょう。

これまでと違い、男女の役割がはっきりとしているだけなのかなと思います。
「力=男、包容力=女」というステレオタイプな役割ですが、物語を非常に分かりやすく、面白くしています。

張り詰めた場面の多い本作ですが、要所要所で挟むしずかちゃんのシーンはブレイク的な役割をしてるので、疲れずに観ることができます。
そして、ラストはしずかちゃんの活躍によって物語が収束しますから、男子と女子の見せ場のバランスが良いです。

しずかに持っていかれた感が、やや強めですけど。

ゴリゴリのSFと、ほどよい緊迫感

「のび太と鉄人兵団」は、宇宙から高い文明を持ったロボット群の襲来に加えて、時空間を移動したり、タイムパラドックスを起こしたり、SF要素が強めです。
SF要素のないドラえもん作品はありませんが、特に本作は「ザ・SF」感が前面に出ていて気持ちが良いです。

また戦闘シーンも、スピーディーで飽きないというのも良い。
ドラえもんの戦闘シーンは、「くうきほ~う~」などと間延びする道具紹介が入るため、安心して見てしまうことが多いのです。(それが、ドラえもんの良さでもあると思うですが。)
しかし、この作品は緊迫感がしっかりとあります。
その点も高評価ポイントです。

しずかの活躍、そして感動のラスト

もうこれですね。
「のび太と鉄人兵団」は、しずかとリルルのラストシーンのためにあると言っても過言ではないです。

「現代で暴れているロボット達を消滅させるために過去に戻る」と思い至ったしずかちゃん、さすがです。

そこで初めて知る、タイムマシンのワープ機能。
これは、幼少の頃かなり驚きました。そんな機能あったの…?と。

映画1作目「のび太の恐竜」で、タイムマシンの「時間移動機能」と「空間移動機能」について説明しているので、遠い星に行くためにはワープせざるを得なかったのでしょうね。

それにしても、いきなり「私にまかせて!ワープを繰り返して……ワープ!」なんて言うものですから、幼い僕は、しずかすげぇぇ!と大興奮でした。

そこから一気に、感動のラストへと向かうわけですが、リルルが「自身の存在が消えてしまう」と気づくシーンから目頭が熱くなってしまいます。

そして、最後の別れの大号泣。
この号泣、ドラえもん映画史に刻まれる名場面だと思います。

30年以上前の作品ですので、当然アニメーションとしての激しいアクションシーンのアングルや動き、効果などは今の世代には物足りないかもしれません。
2代目ドラえもんでのリメイク版「新・のび太と鉄人兵団」では、この点を大きく改善しております。

もちろん、僕はリメイク版も大好きです。
しかしリメイク版では、しずかの号泣シーンを含め、大きく改変されています。
ドラえもん好きであれば、ぜひオリジナル版も、一度観ていただきたい!
そんな素敵な作品です。